先日茨城県石岡市にある『府中誉』さんに蔵見学に行ってきました。
※長いのでぜひお時間あるときにご覧下さい。
※用語やら意味やら工程やら多少間違えて書いているかも知れません。そこは生あたたかく見守って下さい。あまりにヒドイようでしたらご指導ください。
きっかけは、某試飲会に府中誉さんがいらしていて、新しい独自の造りをしているという事で、非常に興味をもちました。もっとお話を伺いたいと思い、いつもお世話になっている酒屋さんを介して、蔵に伺いたいという話をしたら、普段は蔵見学不可なのですがタイミング良く、特別に見学に行かせてもらえる事になりました♪
JR石岡駅からタクシーに乗りましたが、多分歩いて10分~15分ぐらいなのかも。ワンメーターでした。到着すると大きな立派な門構えがありました。(写真撮るの忘れた)建物もこれまた立派!!
ふと見ると『登録有形文化財』の看板が!!納得の情緒あふれる佇まい。

「登録有形文化財」看板より
安政元年創業の造り酒屋。代表銘柄の「渡舟」は、明治・大正期の幻の酒米渡船を復活栽培し仕込んだ酒として知られている。母屋、長屋門、文庫蔵、穀蔵、仕込蔵、釜場、つき屋の7棟が登録されている。
この文化財の中には、
おそらく文化庁もびっくりな秘密が隠されているハズです
(ノ´▽`)ノオオオオッ♪
さっそく七代目の山内社長が案内して下さいました。
酒米については有形文化財の碑のとおり大部分を、山内社長が復活栽培させた、短稈渡船(たんかんわたりぶね)を地元で栽培してもらい使っているそうです。
『精米→洗米→浸漬→蒸きょう→放冷』

こちらは洗米専用の水タンク、洗米用の水の温度管理をしているそうです。水温が何度でもいいわけではなく、5~8℃位にしているそうです。55%~30%の磨きの米を使用していて、特に短稈渡船(たんかんわたりぶね)は、吸水速度が速いそうです。温かすぎると米への浸水スピードが速くなりすぎてしまい、冷たすぎてもいけないので洗米の水の温度の管理も重要です。
購入するお米の水分量は15%と決まっていますが、磨きを変えると、それぞれの水分保有量が変ります。当然磨いた分お米の水分量が減るので、浸水時間をそれぞれ計算しているそうです。
また、保存待機の間に水分保有量が変らないように、磨いたお米は特殊な素材の袋↑に入れ、無駄な水分を吸ったり、乾燥してしまわないように管理しているそうです。
『洗米(せんまい)』
米を水で洗う工程。 『浸漬(しんせき)』
水に米をつけて吸水させる工程。それぞれに時間を計るのでたくさんタイマーが置いてありました。

『蒸きょう(じょうきょう)』
お米を蒸す釜。大きいです!エンマ様の釜のよう!
底にニセ米(プラスチック製)の米を敷いて酒米の底部分がべしゃっとしないように工夫してるそうです。
『放冷』
蒸したコメを冷やす機械です。昔は、蒸した米をむしろ等に広げて外気で自然冷却していた作業です。今は放冷機が主流なのでしょう。
『麹→酒母→醪→発酵(熟成醪)』本来は酒造りの一番大事な所!みどころだったりするですが、今回の大きな目的のアレが近くにそびえたっていたので、ざっと説明して(^_^;)の醸造タンク達。あっさり通り過ぎたので、質問したい事あったなーと後悔。今度お会いする機会があればまた聞こう!

『上槽(じょうそう)』
圧搾(あっさく)、上槽(じょうそう)。
全部は見えないけど、こちらが近年の横型圧搾機の上槽のシステム。醪(もろみ)に圧力をかけて搾りながら、濾過して、原酒と酒カスに分ける工程です。機械ごと冷蔵庫の中にあります。温度、湿度管理も完璧。ナノイーまで装備しているそう!!
これが昔の槽搾りの圧搾機だそう。重厚感がありこれはこれでカッコイイ。
『滓引き(おりびき)』
そして満を持して、これ!!!!!!
そう!これを見てみたかった!
明らかにまわりと空気を逸する存在感!!

なんていうかスタイリーーーッシュ!!
(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」

この装置何がすごいのかというと、タンクの中に『ちっ素』を入れる事によって、清酒を一切空気に触れさせないように来るという事!一切空気に触れさせないという事は、酸化しないという事なのです!タンクはちっ素の圧に1キロまで耐えられて、それを超えると上の煙突みたいなところからちっ素が抜けていくようです。
イメージ図。たぶんこんなかんじ。


空気に触れさせない技術、ワインのに着想を得たのだとか。その着眼点、閃き!素晴らしい!そしてこのタンクなんと、ボンジョルノ☆イタリア製☆!!!イタリア製がよかったという事ではないのかもしれませんが、日本にないならイタリアから持ってきちゃえという、山内社長の志気がすごいです!!平成25年度からこのタンクを導入したそうです。
この中で5日間留めて滓を沈めます。
簡単なろ過装置を通って、瓶詰。ここにも秘密が!!
気になっていたんです。試飲会の時の話だと、窒素を入れて滓引き(おりびき)するという話を聞いていたのですが、瓶詰めのあの空間の空気はどうなっているのだ!!と。あそこ空気が入っていたら、酸化するんじゃないのか??と。
そうです!もちろんここもちっ素入れてました!そうこの素敵なイタリアの機械で!!王冠をはめるのと同時に窒素を入れているそうです。
もうこれだけイタリア製があると、山内社長もイタリア人にみえてくるような…((☆▽☆))
『火入れ』も色々な方法があるのですが、府中誉さんはどぶづけ派なので、最初に軽く栓をして、火入れ桶に入れてから、本締めをするそうです。その方が、栓がゆるゆるにならずに、お客さんが横に保管したとしても、栓があくことがないからだそうです。当店も横に保管しているので、栓が空きやすいものは非常に心配です。作業としては二度手間のようですが、とてもありがたく重要なことだと思います!本当につくりの細部までこだわりがあり、ひしひしと感じます。
火入れ桶↑ 一層に、およそ80本ほどが入ります。水を入れていき下にヒーターがついているので、それで水温を65℃迄温めていきます。温度が達したら、一気にお湯を抜き、冷水を入れて発酵を止めるそうです。
ミストシャワーがいいかもと思って、山内社長自らミストシャワーを作ったそうですが、全然よくなかったそう(^_^;)苦笑)しかしそのように挑戦してみる気持ちが、本当に素晴らしいと思いました!!
『瓶貯蔵』こちらはもちろん瓶貯蔵。他にも蔵があるそう。
もうお分かりかと思いますが…
そう!この蔵の秘密は「登録有形文化財」の蔵の中で、今までにない、新たな酒造りの取り組み(イタリア製のシステム)による最新といっても過言ではない酒造りを行っている!!!でしたッ!ギャップがすごい!






~~~お酒について~~
★渡舟 五十五 純米吟醸
開けたてを口に含むと、ほのかに発砲を感じる。しかし、ガスの数値は出ないそうで、人が感じるほんのわずかなしゅわっと感。スッキリしていてフレッシュな感じ。そう、ここの生詰感で、火入れをしているというのだから、どういう事?と思ったのです。キレもあり酸味とやさしい米の味、味のりもよく、とにかくバランスが良いです。また楽しみだった、開封後空気に触れたら、どこまで酸化が進むのかという事。次の日、開けてみると発砲のようにプシュというガスの抜ける音と共に開栓、開けたてのような発砲感は一切なくなっていましたが、味自体には全く変わりはなく、酸味が抑えられクリアに鮮明になっていました。とても美味しいです!これを火入れで楽しめるとは!!
★太平海 1314(uno・tre・uno ・quattro) 純米吟醸 雄町
アルコール13度 14酵母 という意味。イタリア製のシステムで作っているから、イタリア語が入っているそう。ボンジョルノ~!低アルコール酒。
渡舟と同じく最初の口触りは、微発砲を感じるつくり、ただ低アルコールということなのか、とても軽い飲み口また雄町を使用しているからなのか、柔らかい優しい味わい。これはあまりアルコールが得意ではない方でも飲みやすい。また、口休めに途中に挟むのあり。そして楽しみな次の日。やはり開栓は、発砲のプシュという音と主に開きました。渡舟同様に微発砲の口当たりはもうなかったけれど、味がしっかりとした印象。渡舟より膨らんだ感じ。これで低アルコールならば人気が出ることちがいない。
山内社長の「作りたてのお酒は本当においしい。それをそのまま届けたい」という思いが細部や随所からたくさん感じられました。他にも、短稈渡船という米や地元農家さんとの協力、杜氏制度について、アルコール、お酒業界の中での日本酒というものの価値など、たくさんお話を聞かせて頂きとても貴重な時間となりました。本当にありがとうございました。
府中誉。クラシックラベルとは裏腹なフレッシュなバランスの良さ、これからどんどん人気出て行きそうな予感♥これから流行るんだろうなぁ~。買えなくなっちゃうと残念だから秘密にしておきたい気持デシタ。。。
日本酒は店頭では、各社殆ど変らない瓶で美しく陳列されています。新たな取り組み、昔ながらの製法、オリジナルの技術、どれがよくてどれが悪いという事ではなく、色々な情熱や、たくさんのストーリーが、一瓶ごとに秘められているという事がワクワクしますよね♪♪
また、食材にもたくさんのストーリーがあります。ぜひ合わせて一緒に楽しんで下さいね♪長々とお付き合いいただきありがとうございました♪